令和3年度税制改正大綱での目玉の一つとして、経営資源集約化税制の創設があります。
この制度は、経済産業省・厚生労働省・国土交通省が共同で要望した事項ですが、その目的として「ウィズコロナ/ポストコロナ社会に向けて、地域経済・雇用を担おうとする中小企業による経営資源の集約化等を支援する。(経済産業省) 」とあります。
政府がイメージしているのは、中小企業版のM&A税制だと思います。
例えば、コロナでも余力のある販売会社が製造会社の株式等を買い取って製販一体の体制にする、観光地のホテル・旅館がコロナで疲弊した同業者を買い取るといったことでしょうか。
中小企業の経営資源の集約化による事業の再構築などにより、生産性を向上させ、足腰を強くする仕組みを構築していくことが重要である。このため、経営資源の集約化によって生産性向上等を目指す計画の認定を受けた中小企業が、中小企業の株式の取得後に簿外債務、偶発債務等が顕在化するリスクに備えるため、準備金を積み立てたときは、損金算入を認める措置を講ずる。・・・(令和3年度税制改正大綱13頁より)
[概要]
対象者 | 青色申告書を提出する中小企業者で中小企業等経営強化法の経営力向上計画※(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたものに限る。)の認定を受けたもの |
要件 | その認定に係る経営力向上計画に従って他の法人の株式等の取得(購入による取得に限る。)をすること |
取得した株式等をその取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有していること | |
その株式等の取得価額が 10 億円を超える場合は対象とはならない | |
損金算入 | その株式等の価格の低落による損失に備えるため、その株式等の取得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できる |
益金参入 | この準備金は、その株式等の全部又は一部を有しなくなった場合、その株式等の帳簿価額を減額した場合等において取り崩すほか、その積み立てた事業年度終了の日の翌日から5年を経過した日を含む事業年度から5年間でその経過した準備金残高の均等額を取り崩して、益金算入する。 |
※中小企業等経営強化法の改正が前提で、この制度が現行の経営力向上計画の支援措置(👈中小企業庁HP)の対象になるのだと思います。
[適用時期]
令和4年4月1日以後に終了する事業年度から適用する。
なお、中小企業等経営強化法の改正法の施行の日から令和6年3月 31 日までの間に中小企業等経営強化法の経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたものに限る。)の認定を受けた株式等が対して適用される。
∞∞ 吉岡 ∞∞