政府・与党は大企業の採用を促進する税優遇措置を2021年度に導入する。新卒や中途の新規採用者に支払う給与支給額が前年度より一定額増えた企業に支払額の15%を税額控除する。新型コロナウイルスによる採用減で若年層の雇用環境が「氷河期」に陥らないよう税制で手当てする。
18年度に導入した大企業に賃上げを促す現在の法人税減税の仕組みを抜本的に改める。コロナ禍で賃上げしにくい企業が増えているため、制度の軸足を賃上げから雇用下支えに移す。(2020/11/28 日経)
賃上げを促す法人税減税というのは、「賃上げ・生産性向上のための税制(大企業向け)」(経済産業省HP👈クリック))と「所得拡大促進税制(中小企業向け)」(中小企業庁HP👈クリック)の2本立てになっています。
経済産業省所轄の税制はどれもそうなのですが、この2つの税制も極めて煩雑な集計をしなければなりません。
例えば適用要件の一つに継続雇用者給与等支給額が前事業年度と比較して3%以上(中小企業の場合は1.5%)増加していなければならないとされています。
一口に継続雇用※といっても、従業員の中には、年の中途入社や退職した人、休職した人、非正規雇用者から正規雇用者になった人など様々な人がいます。そのすべての人について継続雇用に該当するか否か確認をしながら給与等の支給額を計算しなければなりません。
※継続雇用者とは以下の全てを満たす者を指します。
① 前事業年度及び適用年度の全ての月分の給与等の支給を受けた国内雇用者である
② 前事業年度及び適用年度の全ての期間において雇用保険の一般被保険者である
③ 前事業年度及び適用年度の全てまたは一部の期間において高年齢者雇用安定法に定める継続雇用制度の対象となっていない
税制は本来シンプルであるべきで、このような煩雑な集計をした結果3%(中小企業の場合は1・5%)に達しなければ無駄な作業になってしまいます。
そもそも企業が設備投資や賃上げをするにあたって、この制度がインセンティブになっているのか疑問ですし、その検証結果も公表されていないと思います。
減税制度があって減税額がこのくらい見込まれるから、賃上げをしよう、設備投資をしようといいうのが本来の姿だろうと思います。
新聞記事によりますと、「大企業に賃上げを促す現在の法人税減税の仕組みを抜本的に改める」とありますので、上記のうち「賃上げ・生産性向上のための税制(大企業向け)」の方を改正するのだと思います。
∞∞ 吉岡 ∞∞