中古資産を取得した場合には、法定耐用年数か見積もり耐用年数で減価償却費を計算します。
通常、耐用年数の見積もることは困難な場合がほとんどです。
そこで、実務ではつぎの簡便法(👈国税庁HPクリック)による耐用年数の算定方法を利用します。
・取得した中古資産が法定耐用年数の全部を経過している場合
その資産の法定耐用年数の20%に相当する年数※
・取得した中古資産が法定耐用年数の一部を経過している場合
その資産の法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数※
※1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます。
その年数が2年に満たない場合には2年とします。
この簡便法による耐用年数を利用して、海外中古不動産による節税スキームが盛んに行われました。
海外不動産は土地よりも建物に価値があるため、耐用年数をある程度経過していても建物の価値が下がりません。
一方、上記簡便法による耐用年数を用いれば多額の償却費を計上することができます。
例えば、木造建物の耐用年数は22年ですが、築年数が22年を超えた建物を取得すれば、22年×20%=4年(1年未満切り捨て)なので、4年で減価償却できてしまいます。
もっとも2020年度の税制改正でこのスキームは蓋をされたので、今は節税メリットはなくなっています。
この外でこの中古資産の耐用年数を利用した節税スキームとしては、海外不動産に比べれば小ぶりになりますが、中古車の節税スキームがあります。
新車時の価額が1千万円を超えるような高級車の中には、走行距離も少なく程度のよいものがたまに見かけます。
例えば、法人が期首に新車を1,300万円で購入すると、初年度の減価償却費はつぎです。
1,300万円×0.333(法定耐用年数:6年定率法)=4,329,000円
一方、同じ車種を4年落ちの中古車で800万円で購入した場合の減価償却費はつぎになります。
800万円×1.000(簡便法による耐用年数:1年定率法)=8,000,000円
これは、(法定耐用年数6年−経過年数4年)+4年×20% =2.8年 → 2年
2年の定率法の償却率は1.000であるためです。
ただし、前提条件が期首に取得となっています。
期の途中で取得した場合は月数按分になりますのでご注意ください。
∞∞ 吉岡 ∞∞