平成26年から「国外財産調書」の提出が始まります。これは、その年の12月31日において5千万円を超える国外財産を有する人は、翌年の3月15日までに申告する制度です。提出がない場合等には罰則規定があります。
これとよく似た制度に「財産及び債務の明細書」の提出がありますが、こちらには罰則規定がないためその提出が十分とはいえないのが現状です。
税務署では以前から、銀行から税務署宛に提出されている「国外送金等調書」により、国外財産を所有していそうな人達をある程度は把握していました。現に、平成25年の所得税の税務調査でも、調査官がこの「国外送金等調書」と帳簿類とを照合する姿が散見されました。
これが、この「国外財産調書」制度により、さらに強化されることになります。
さて悩ましいのは、相当以前から国外財産を所有していて所得があるにもかかわらず申告をしてこなかった場合です。これからはキチンと申告するにしても、「国外財産調書」を提出すると過去の申告との整合性がとれず、提出しないと永遠に申告漏れとなってしまうからです。
一ついえることは、法律を作る人達は驚くほどいろいろなケースを想定していますので、そういう悩ましい人達が出てくるということは織り込み済みだということです。
なお、「国外財産調書」はその年の12月31日おいて5千万円を超える国外財産を有する人が対象となっているため、所得がない人も対象となっています。つまり、国外財産にかかる所得のみならず、相続・贈与財産の把握も目的としているということです。