納税義務の変遷②の続きです。
在留資格などで日本で一時的に働いていた期間が10年を超えて本国に帰国すると、その者は非居住被相続人とはなりません。
この者について相続が発生すると、全世界財産について日本の相続税がかかってしまうという問題がありました。
平成30年度の税制改正で、非居住被相続人の範囲を拡大しました。
日本に10年超滞在して帰国した外国人の相続開始前10年以内において、国内に住所を有していた期間中継続して日本国籍なしであった者を非居住被相続人とすることによりこの問題に対処しました。
非居住被相続人 | 相続開始時において日本国内に住所がなかった被相続人であって次に掲げるものをいいます。 ①相続の開始前10年以内のいずれかの時において日本国内に住所があったもののうち、そのいずれの時においても日本国籍がなかったもの ②相続の開始前10年以内のいずれの時においても日本に住所がなかったもの |
贈与税の納税義務についても相続税と基本的には同じですが、非居住贈与者の範囲が異なります。
非居住贈与者 | 贈与の時において日本に住所がなかった者であつて次に掲げるものをいいます。 | |
イ贈与前10年以内のいずれかの時において日本に住所があったものであつて次に掲げるもの | ||
日本国籍なし | (1)日本に住所を有しなくなつた日前15年以内において、住所を有していた期間の合計が10年以下であるもの | |
(2)日本に住所を有しなくなつた日前15年以内において、住所を有していた期間の合計が10年を超えるもののうち同日から2年を経過しているもの(※短期非居住贈与者) | ||
ロ贈与前10年以内のいずれの時においても日本に住所を有していたことがないもの |
※短期非居住贈与者からの贈与については、一旦申告不要とされます。
・短期非居住贈与者が出国後2年以内に国内に住所を有することになった場合には、全世界財産が贈与税の課税の対象となります。
・短期非居住贈与者が出国後2年を経過した場合には、非居住贈与者になり日本国内の財産が贈与税の課税の対象となります。
現行の相続税・贈与税の納税義務については、極めて複雑な規定となっています。
財務省のホームページに表にまとめられたものがありますので参考にしてください。
(財務省HP 👈クリック)
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