不動産の譲渡所得は、下記の算式で計算します。
譲渡所得=譲渡収入金額-(譲渡資した資産の取得費+譲渡費用)
①売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、 買い入れた時期が古いなどのため取得費がわからないことがあります。この場合は、譲渡収入金額の5%相当額を取得費とすることが出来ます。実際の取得費が売った金額の5%相当額を下回ったとしても5%相当額で譲渡所得を計算することができます。例えば譲渡収入金額が3,000万円だとすると150万円(3,000万円×5%)が取得費となります。国税庁HPをご参照下さい。
②それでは、つぎのような場合はどうすればよいのでしょうか?
平成2年に不動産を取得したが、今年に入ってこの不動産を3,000万円で処分した。買値はバブルの頃で1億円を超えていたが、何度かの引越で取得費を証明するものは処分してしまっている。このような場合も取得費は150万円(3,000万円×5%)として譲渡益で申告しなければならないのでしょうか?
③さらに、つぎのような場合はどうすればよいのでしょうか?
昭和50年に不動産を取得したが、今年に入ってこの不動産を3,000万円で譲渡した。買値は1,500万円位だったと記憶しているが、当時の取得費を証明するものは見当たらない。取得費は少なくとも150万円(3,000万円×5%)よりははるかに大きいはずだ。
取得費が不明な場合の取扱いについて税法上明らかになっているのは、実は①の「譲渡収入金額の5%相当額」についてだけです。②の明らかに譲渡損の場合や③の譲渡益がでるが取得費は譲渡収入金額の5%相当額よりもはるかに大きい場合についての規定はありません。
②の場合は、取得費が譲渡価額よりもはるかに大きいことが説明できるように下記のような資料収集をすることになります。
・購入者の当時のメモ
・仲介業者に記録が残っていないか問い合わせる
・売主と連絡が取れる場合は売主側に売買契約書などが残っていないか問い合わせる
・当時の売り出し物件のチラシ
・銀行借り入れで取得した場合は融資の記録など
③の場合は、費用の問題はありますが、費用対効果を考えれば税理士などの専門家に任せた方が無難だと思います。また、税理士に相談しても明文規定がないためその対応は様々だとおもわれます。もちろん、当事務所ではこのような場合も対応しておりますでご相談下さい。

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