自社株対策

まずは、自社株式を評価します

自社株対策を検討するにあたっては、まず自社株式の評価額がどれくらいか知っておく必要があります。

ご自身が会社の経営支配力を持っている同族株主であるときは、原則的評価方式(類似業種比準方式、純資産価額方式、これらの併用方式)で評価します。

このうち、類似業種比準価額は、国税庁から比準すべき株価等が公表されていますので、3期分の決算書と申告書があれば比較的簡単に算出することができます。

純資産価額は、会社が保有する資産・負債のひとつひとつを財産評価基本通達で定めるルールにしたがって評価することになります。

また、企業グループを構成しているような場合、評価しようとする会社がさらにグループ内の別の会社(子会社、孫会社、兄弟会社など)の株式を持っていたりすると、その会社の株式についてもまた財産評価基本通達にしたがって評価しなければならず、評価会社1社の評価で済まない場合があります。

自社株式の評価は専門家に依頼した方が無難です

自社株対策は通常数年がかりとなりますので、一度自社株式を評価したらお終いというわけではありません。
次年度以降も、毎年評価額をアップデートしていかなければなりません。

税理士などの専門家は財産評価基本通達に基づく評価に精通していますし、また、非上場株式を評価する専用ソフトを持っていますので、次年度以降の株価のアップデートなども比較的容易におこなうことができます。

自社株式の評価額の引き下げ対策はないわけではありません

二重否定の表現になってしまいましたが、かつては劇的に評価額が下がる節税方法が巷でおこなわれていました。

しかし、これらは行き過ぎた租税回避行為として、課税当局に否認されたり、これを不服として裁判で争われ納税者が負けたり、あるいは課税当局が財産評価基本通達そのものを改正し過度な節税方法として蓋をしたりといった具合で、現在ではこれをやったから一気に株価が下がるという方法はありません。
仮にあったとしても、相応のリスクを覚悟する必要があります。

類似業種比準価額の引き下げの考え方

類似業種比準価額は、評価会社の配当金額、年利益金額及び純資産価額の3要素について、国税庁が公表する評価会社と類似する業種の株価と3要素(配当金額、年利益金額及び純資産価額)を比較して株価を算定します。
したがって、株価を引き下げるにはこれら3つの要素を引き下げればよいわけです。

容易な順番としては、①配当金額 > ②年利益金額 > ③純資産価額、だと思われます。
具体的には、①では、配当を減らす、または取りやめる、②では、退職金を支払う、含み損を抱える資産の売却などが考えられます。③については一般的に引き下げが難しいと思われます。

ただし、3要素とも「0」となったり、2要素が「0」になったりすると逆に評価額が上がる場合があります。
対策をおこなう場合は専門家とよく相談しながら実行した方がよいでしょう。

純資産価額の引き下げの考え方

純資産価額は、評価会社の①資産価額から②負債の額を差し引いて計算します。
したがって、①の評価額を減らすか、②の負債の額を増やせばよいことになります。

①では、一般に路線価は公示価額の8割といわれていますが実際に評価すると、処分価額 < 路線価 のような土地等があります。
このような不動産は資産の入れ替えや不動産鑑定士による鑑定を検討します。

②では、代表者の交代時期での退職金などが考えられます。

また、よくおこなわれる方法として、借入による不動産の購入がありますが、取得して3年間はその効果がありませんので注意が必要です。

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