税務調査は納税者の申告内容のチェックです
日本の所得税は、申告納税方式を採用しています。
申告納税方式のもとでは、納税者自身が自ら税金の対象となる所得の金額や税額を計算し、確定申告書を提出すると共に納めるべき税額を納税します。
ところが、すべての納税者が誤りのない申告書を作成できるとは限りません。
計算誤りもあるでしょうし、勘違いもあります。
また、中には所得を少なく見せかけて本来納税すべき税額よりも少なく納税をしようとする者もいるかもしれません。
このような事態を見過ごすと納税者間の公正・平等が保てないので、その手段の一つとして税務調査があります。
税務調査は事前通知が原則です
税務調査が行われる場合には、税務署から納税者に電話で事前通知が行われます。
その納税者が税理士に代理で申告を依頼している場合には、その税理士にも事前通知が行われます。
税務署の調査官は、税務調査の候補日をいくつか伝えてきます。
調査官、納税者、税理士で日程調整をして調査日を決定します。
事前通知のない調査もあります
一般的ではありませんが、飲食店など現金取引の多い業種は、税務調査の事前通知なしで突然、調査官が訪問してきて税務調査が開始される場合もあります。
税務調査が行われる場所は事業所か自宅です
調査が行われる場所は事業を行っている事業所か、事業所がない場合には自宅で行われます。
これら以外の場所で調査を行うことも可能ですが、その場合には合理的な理由を説明する必要があるでしょう。
税務調査は10時頃から夕方まで行われます
税務調査は通常、午前10時頃からスタートして、途中お昼の休憩をはさみ、午後1時頃から夕方まで行われます。
税務調査は事業のヒアリングからはじまります
午前10時頃から税務調査がスタートすると、調査官はまず納税者と事業の概要についてヒアリングします。
出身地、家族構成、経歴、事業の状況、趣味などです。
単なる世間話をしているだけのように見えますが、調査官はこのヒアリングを通じて納税者の人物像やお金の使い方を把握します。
その後、事業に関する請求書、領収書、通帳などをチェックし、損益計算書、貸借対照表の中で気になるところがあれば質問します。
質問されたことに対して回答する必要がありますが、即答できない場合は質問内容を調べて後日回答するようにします。
修正申告を行うと本税、過少申告加算税、延滞税の3種類の税金を納めます
修正申告書を提出しますと、本来納めるべき所得税で足りていなかった部分を追加で納めます。
これを一般的には修正申告による本税(ほんぜい)の納税といいます。
たとえば本来10万円納めるべきところを最初の申告で8万円納めていたとすると2万円が修正申告で納めることになる本税です。
税務調査によって本税を追加で納めるとペナルティの意味で過少申告加算税がかかります。
なお、税務調査が行われる前に自分で計算誤りに気がついて修正申告書を提出し、本税を納めた場合には過少申告加算税はかかりません。
また、修正申告で本税の納税を行うと延滞税もかかります。
延滞税とは遅延利息に相当します。
延滞税は過少申告加算税と違い、自分で計算誤りに気がついて修正申告を行っても発生します。