相続税の税務調査立会い

相続税の税務調査は申告後1年から2年後ぐらいにあります

相続税の申告、納税が終わって一段落。
やれやれこれで大変だった相続の作業は全て終了、と思ったら、忘れたころに税務署から相続税の調査をしたいと連絡が来るのです。

相続税の税務調査は多くの場合申告してから1年から2年後ぐらい、長い場合は3年経過してからということもあります。

税務調査には「準備調査」と「事後調査」があります

なぜ、こんなに遅くなってから調査が来るのでしょうか?

税務署の調査官が納税者の自宅などに赴く調査を「実地調査」といいますが、実は相続税の税務調査は実地調査の前に既に始まっていたのです。
相続人だけでなくその家族も含めた関係者の、氏名、年齢、住所、職業等や、銀行、証券会社等の取引状況を事前に調査しています。
これを「準備調査」といいます。
準備万端で実地調査に赴いているのです。

私達が相続税の税務調査立会いをするときには税務署の調査管は既に十分な下調べを終えており、準備調査の結果と納税者の話、現存する財産や書類などの実地調査の結果をふまえて、申告内容が正しいかどうかをチェックしているのです。

相続税の税務調査(実地調査)の概要

相続税の税務調査をするときは事前に税務署から日程調整の連絡が入ります。
税理士が申告の代理をしていれば、相続税の申告書と共に税務代理権限証書を提出します。
この書類に「調査の通知に関する同意」欄にレ点つけていれば、通常税理士宛に連絡が入ります。

日程調整では納税者、調査官、税理士の都合を調整して実施調査の日時や場所を決めていきます。
調査に要する時間は通常1日です。
場合によっては後日半日程度の時間を設けることもあります。

なお実施調査の場所は被相続人の自宅が最も多いのですが、既に売却されていたり、財産や資料が既に他の場所に移されていたりするなど、他の場所で実施調査する方が合理的な場合はそちらで行います。

本来であれば相続人全員が相続税の税務調査立会いを行うのが望ましいのですが、全員の都合を合わせるのは事実上難しい場合が多いようです。
このため、多くは相続人のどなたかに代表して立会っていただきます。

実地調査の手順

相続税の税務調査(実地調査)は通常午前10時からスタートします。
私たちが相続税の税務調査立会いをするときは、その少し前に現地に赴きます。

税務署からは通常二人の調査官が来ます。

午前中は主に納税者である遺族から被相続人の生い立ちや財産を形成した経緯、闘病の経緯などを聴取します。
これらの質問は全て相続税の申告内容が正しいかどうかのチェックと思ってください。

一通り話を聞くと、預貯金の通帳、銀行、証券会社、保険会社等からきたレポート等の書類の確認を行います。
また、印影を採取することもあります。

なお、調査官にはお茶やコーヒーを出すことは差し障りありませんが、昼食の用意は不要です。

貸金庫や寝室を見ることもあります

調査官は大事なものを保管しているところならどこでも確認します。

多くの場合貸金庫には行きますし、寝室に入ったこともありました。

申告漏れで最も多いのは家族名義の預貯金

相続財産の中で最も多いのは土地や建物です。
相続財産の金額の構成比でいうと4割強です。

しかし申告漏れで最も多いのは現金・預貯金等です。

これらの内容については明らかにされていませんが、これまで経験した相続税の税務調査立会いの経験から見るとその多くは家族名義の預金と思われます。

被相続人の財産を基に形成されたものは、たとえ名義は家族のものであっても、贈与でもない限り被相続人の財産とみられてしまいます。

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