相続財産は速やかに名義変更します
遺産分割協議などによって誰がどの財産を承継するかが決まったら、相続財産の登記・名義変更が必要です。
相続財産の登記・名義変更の期限は特にありませんが、次の2つの理由から、できる限り速やかに行うべきでしょう。
理由1 被相続人の名義のままでは換金等ができない
特に預貯金は被相続人の名義のままでは自由に引き出すことができませんし、不動産や株式などは被相続人の名義のままでは売却することができません。
理由2 分割等が決まった直後の方が登記・名義変更の手続きがやりやすい
相続財産の登記・名義変更には他の相続人の協力が必要ですが、相続財産の承継が決まった直後の方が、お互いに名義変更に協力する気運が高いものです。
また時間が経てば経つほど登記・名義変更に必要な書類の入手が難しくなるということもあります。
財産の登記・名義変更のために書類を準備します
相続財産の登記・名義変更に必須な書類は、遺産分割協議の場合を例にあげると次の4つです。
- 遺産分割協議書(相続人全員が自署し実印を押印)
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのも全て)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
これら4つの書類は全ての相続財産の登記・名義変更に必要なものです。
この他に財産の種類や手続先によってこれら必須の書類に加えてさらにいくつかの追加書類が必要になりますので、詳しくは各手続先にご確認ください。
遺産分割協議書などの書類は原本を返してもらいましょう
上記の相続財産の登記・名義変更に必須な書類を名義変更の手続先の数だけ用意するのは大変です。
例えば手続先が10カ所あれば必須な書類が10セットも必要になるからです。
一般的には必須な書類を1セット用意し、各手続先にこれらの書類を確認してもらい、必要があればコピーを取ってもらった上で原本を返してもらいます。
そうすれば、1セットあれば何カ所でも名義変更の手続きができます。
相続後のお金の精算も忘れずにしてください
相続開始時(被相続人が死亡した日)の預金残高と名義変更するときの預金残高は通常異なります。
例えば、相続開始時の預金残高が1,000万円だったとしましょう。
その後公共料金など50万円の引き落としがあって、名義変更するときの残高が950万円に減っているというような例です。
預金はAさんが相続し、公共料金等50万円の支払いはBさんが負担することになった場合、Aさんが950万円の預金を受け取っただけではいけません。
Aさんが預金を1,000万円相続し、Bさんが50万円の債務を負担したことにならないからです。この場合、BさんがAさんに50万円を支払う必要があります。