相続税がかかりそうでない人も相続対策は必要です
相続税対策は、相続税がかかりそうな人※が対象で、節税対策や納税対策が中心となります。
※国税庁HPに「相続税の申告要否の簡易判定シート」が用意されています。
相続対策は、相続税がかからない人も対象となります。
だれにどの財産を引き継がせるか、だれを事業の後継者にするか、自分の死後相続財産を巡って争いごとを起こさないようにするにはどうするかなどは、相続財産の多寡にかかわら検討しておいて方がよいでしょう。
相続対策には、争族対策、節税対策、納税対策の三つがあります
争族対策
まず、ご自分の財産を洗い出します。
自宅、別荘、ゴルフ会員権、上場株式、公社債、投資信託、預貯金、書画骨董類、貴金属等々。
個人で事業をおこなっている場合は、事業にかかる動産、不動産、債権、債務など、法人で事業をおこなっている場合は、同族会社株式、会社への貸付金などがあります。
また、忘れてならないのが銀行借入などの債務や保証人になっている場合の保証債務です。
相続人がこれらの相続財産や債務を相続するには、二つの方法があります。
一つは、遺産をどのように分割するかは相続開始後の遺産分割協議で決める方法です。
法定相続分や各相続人の諸事情を勘案し、相続人間で話し合って全員の同意により財産や債務の帰属を決めます。
しかし、事業用財産など分割が困難な財産が主な財産であったり、兄弟仲が悪いなどの場合は、思いがけない争いごとに発展する可能性があります。
もう一つは、遺言書であなたの意思表示を示しておく方法です。
遺言書は遺留分を侵害しない限りその効力は有効ですので、死後あなたの意思を実現することができます。
節税対策
不動産の相続税評価額と時価との差額を利用して相続財産の価額を引き下げたり、贈与税の非課税・控除制度(暦年贈与、贈与税の配偶者控除、住宅取得資金等の贈与、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与など)を利用して相続財産を減らしたりして、将来の相続税の負担の軽減をはかります。
ただし、贈与をしすぎたため預貯金が少なくなり生活が窮屈になってしまったり、大きな不動産を取得したため相続財産が不動産の塊になったりしないよう財産のバランスに注意が必要です。
納税対策
相続税の納税は納付期限までに金銭で一括納付が原則です。
金銭で納付することが困難な場合には、一定の要件に該当する場合に延納や物納の制度が用意されています。
まずは、相続税の概算を出してみる必要があります。
相続税は、面倒な財産の評価をしなければならず、税制改正や通達改正なども頻繁にあるので、できれば税理士などの専門家に依頼した方が無難です。
相続財産の中の金融資産で相続税額をカバーできる場合は一安心ですが、不足するようなら、将来不動産などの一部売却なども視野に入れておかなければなりません。
また、財産に換金性のあるものがない場合は、延納や物納による納税を検討することになります。