個人事業の法人成り

法人成りとは、個人事業を、新たに設立した法人に引き継がせることをいいます

個人の人格は生まれながらにして与えられるものですが、法人の人格は法律に定められた手続を取ることで、はじめて法人の人格が与えられます。

個人事業を法人成りした場合、メリットもあればデメリットもあります。
メリット、デメリット両方を勘案した上で法人成りの決断を行うことが大切です。

法人成りをするとつぎのようなメリットがあります

対外的な信用度がアップします

個人事業主には取引口座を開設していない会社もあります。
そのような会社と取引するためには法人成りをするしかありません。

事業拡大を続けるには個人事業では限界がありますので、法人成りが必要になってきます。

給与所得控除が受けられます

法人成りをすると社長はサラリーマンと同じく給与所得者となります。

給与所得者には給与所得控除がありますので、法人成りをすれば給与所得控除の分だけ個人事業よりも節税になります。

所得が増えると税率が有利になります

個人事業の場合には、所得税と住民税を合わせた税率は、所得金額に応じて15%~55%です。
一方、法人成りをした場合の法人税等の税率は約23%~約34%です。

所得が少ないうちは個人事業の税率の方が低く有利なのですが、個人事業の所得が多くなってくると最高税率が低い法人の方が有利になってきます。

繰越欠損金の控除期間が個人よりも長くなり赤字が長期間利用できます

青色申告である場合、個人申告では赤字金額を3年間繰り越して、その3年間で出た所得と相殺することができます。
一方、青色申告を行う法人の場合には最高で10年間、赤字金額を繰り越すことができます。

法人は個人と比べて長く赤字を繰り越せます。

個人で認められなかった経費が法人では経費化できるものがあります

法人成りをすると、個人事業では必要経費として認められなかったものが経費として認められるようになるものがあります。

たとえば、社長に給与を支払うことができるようになるのと同様に退職金も支払うことができるようになります。
また、法人が契約者となって支払う一定の生命保険料なども金額の制限なく法人の費用となります。

法人成りをすることでデメリットもあります

法人成りはデメリットもあります。
主なデメリットはつぎのとおりです。

設立登記費用
登録免許税と専門家への報酬で約30万円前後かかります。

事務コストの増加
複式簿記による帳簿の作成が義務付けられます。

また税務申告書の提出をはじめ、税務署への各種書類の提出義務が生じます。
社会保険にも加入しなければなりません。

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