制度の概要
平成25年度の税制改正で創設された制度です。両親や祖父母の資産を早期に移転するこ
とを通じて、子や孫の結婚・出産・子育てを支援することを目的としてものです。
祖父母や両親(贈与者)から、20歳以上50歳未満の子・孫(受贈者)に、結婚・子育て資金に充てるために次の拠出をした場合には、1,000万円まで贈与税は非課税とされます。ただし、金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することが必要です。
- 信託受益権を付与された場合
- 書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合
- 書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合
(注)1.平成31年4月1日以後は受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用がありません。
2.令和4年4月1日以降は受贈者の年齢が18歳以上50歳未満となります。
結婚・子育て資金
(1) 結婚に際して支払う次のような金銭(300万円限度)をいいます。
- 挙式費用・衣装代等の婚礼(結婚披露)費用
- 家賃・敷金等の新居費用・転居費用
(2) 妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭をいいます。
- 不妊治療・妊婦健診に要する費用
- 分べん費等・産後ケアに要する費用
- 子の医療費・幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)
管理残額の課税
- 契約期間中に贈与者が死亡した場合には、管理残額は贈与者から相続又は遺贈により取 得したものとみなされ相続税の課税対象となります。
なお、受贈者が贈与者の子以外(孫など)の者である場合の相続税額の計算に当たって は、管理残額のうち令和3年4月1日以後の拠出分に対応する相続税額については、相 続税額の2割加算の対象となります。 - 受贈者が50歳到達時に金融機関との間の資金管理契約は終了します。これにともない管 理残高には贈与税が課税されます。
民法の扶養義務との関係
民法には扶養義務者の規定があります(民法877)。この扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるための贈与は、原則、非課税となっています(相法21の3①二)。
生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるための贈与は非課税(相基通21の3-5)ですが、将来の生活費や学費に充てる資金を前払いしたような場合には、この非課税規定の適用はありません。 結婚子育て資金を必要な都度ではなく、将来分を含めて一括贈与する場合はこの結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度を適用することになります。