【相続税・贈与税】非上場株式の納税猶予制度のリスク

平成30年度の税制改正で、非上場株式の納税猶予制度は10年間の特例措置として、その要件が緩和されました。
・猶予の対象となる株式が3分の2から100%
・相続の場合の納税猶予が80%から100% 等々
ですが、中小企業庁がいう「爆発的に伸びている(中小企業庁HP👈クリック)」という実感はありません。


特例措置になって相続税・贈与税が100%納税猶予(一般措置:相続80%、贈与100%)となっても、つぎの事業承継者がこの制度を利用しない限り、原則としてその時点で納税をしなければらないことに変わりはありません。

納税猶予を継続しようとすると、創業者からその子供である事業承継者、さらにその子供(創業者からみれば孫)と数十年に渡ってこの制度を利用し続けることになります。
数十年先に社会が、そして会社がどうなっているか想像もつきません。そもそも孫が事業を承継してくれるかどうかわかりません。

非上場株式の納税猶予制度の適用を検討しても、いざ実行となると躊躇されるのは、こういった点にあるのかもしれません。


非上場株式の納税猶予制度のリスクで意外と見逃される点が、税務署への継続届出書です。

継続届出書は、経営承継期間内は毎年、その後は3年ごとに提出しなければなりません。
もし、継続届出書の提出を怠ると、猶予されている相続税・贈与税の全額と利子税を納付しなければなりません。

非上場株式の納税猶予制度は複雑ですが、一つひとつの手続きはさほど難しいものではありませんから、税理士などの専門家ならその実行は可能です。

しかし、長期間に渡ってこの制度を管理していくとなると納税者も税理士もある程度のリスクを伴います。

なぜなら、会社が資産管理会社に該当しないかなどの特定事由に該当しないか、猶予期間中ずっと見ていかなければならないからです。
また、継続届出書の提出が毎年ならまだよいのですが、5年経過後は3年に一度となると、うっかり提出の失念ということがあり得るからです。

さらに、会社の経理担当者が代わった、顧問税理士が代わった、顧問税理士事務所の担当者が代わったという場合、継続届出書の提出などの引き継ぎが漏れてしまうおそれもあります。

非上場株式の納税猶予制度は、少なくとも贈与時や相続時に非上場株式にかかる税金を用意しなくてもよい制度ですから、魅力的な制度です。
実行にあたっては、顧問税理士とよく相談して実行することが望まれます。

その意味で、非上場株式の納税猶予制度の実行だけを高い報酬で請け負う専門家は避けたほうがよいと思っています。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

 

 

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