【相続税・贈与税】相続時精算課税制度の留意点Ⅱ

-概要-
相続時精算課税制度では、この制度を選択した後の贈与財産の額を累計し、累計額が2,500万円までは無税、2,500万円を超える場合には超える額に対して一律20%の税率で贈与税が課税されます。
さらに、贈与財産は全て相続税の課税対象となり贈与者の相続税の計算に取り込まれ、支払った贈与税は相続税から控除されます。その結果、不足があれば納付し、払い過ぎがあれば還付されます。
この制度を選択するに当たって特に注意すべき点は、つぎの3つです。

・選択後の撤回は不可
・受贈者は贈与者の孫でも可
・相続税の対象になるのは贈与時の評価額


-贈与者の孫でも可-

平成25年の税制改正により平成27年1月1日からは孫への贈与も相続時精算課税制度が適用できることになりました。この場合の注意点はつぎのとおりです。

・孫は、父母が亡くなるなどして代襲相続人となった場合や祖父母の養子となった場合を除き、祖父母の相続人ではありません。しかし、相続時精算課税制度を選択して贈与をすると、贈与者の相続時においてその相続人でるか否かに関わらず相続税の計算対象となってしまいます。したがって、祖父母の相続財産が多額であったりすると思わぬ税負担となってしまいます。

・相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。

なお、この場合の孫は法定相続人ではないので相続税の基礎控除の人数にはカウントされません。

基礎控除の額=3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数


-相続税の対象になるのは贈与時の評価額-

ある意味、これが相続時精算課税制度を選択するにあたって最も重要なポイントかも知れません。
相続時精算課税制度を選択して贈与を受けた財産は贈与時の価額で相続税の課税価格に加算されます。この加算は、贈与を受けた財産の状態にかかわらず贈与時の価額とされていますので、贈与財産が相続時に値上がりしていたとしても、値下がりをしていたとしても、極端な場合無価値や存在しなくなっていたとしても、贈与時の価額となります。
したがって、金銭などの贈与時も相続時もその評価額が変わらないものはよいのですが、外貨、株式、土地などの価格変動があるものは、相続時において有利・不利が生じてしまいます。

(例)相続時精算課税制度を選択して土地を子供に贈与しました。

贈与時の価額 相続時の価額 相続税の課税
価格加算額
3,000万円 4,000万円 3,000万円
3,000万円 2,000万円 3,000万円

①の場合は、相続時精算課税制度により贈与したことによって、相続時まで所有していれば4,000万円であった土地が3,000万円で課税価格に加算されるので、1,000万円得をしました。

②の場合は、相続時精算課税制度により贈与したことによって、相続時まで所有していれば2,000万円であった土地が3,000万円で課税価格に加算されるので、1,000万円損をしました。

∞∞ 吉岡 ∞∞

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