【相続税】修正申告、財産もらってないのに税金が増える?

亡くなった方の財産を申告期限の10か月の間に全て把握するというのは、なかなか大変です。遠方に住んでいたり、仮に同居したとしてもそんな財産があることを知らなかったり、思い違いといったこともあります。相続税の税務調査で申告もれが発見されることは決して珍しいことではありません。
税務調査で税務署から指摘されて、申告もれであることを相続人が納得すれば、多くの場合その財産を誰が相続するかを決めた上で相続税の修正申告書を提出し、納税することになります。
このときに、相続財産をもらっていない人までも相続税の納税が発生することがあります。


これは、わが国が現在採用している相続税の課税方式に起因しています。
相続税の課税方法にはつぎの3つがあるとされています。
①遺産課税方式
被相続人の遺産総額に応じて課税する方法で、相続税を差し引いた残りの財産を相続人が分割取得します。アメリカ・イギリスがこの方式を採用しています。
②遺産取得課税方式
各相続人等が相続した財産の価額に応じて、超過累進税率が適用されます。この方式は取得財産額に応じて税負担が発生するため公平である点が長所ですが、分割の仕方によって相続税の総額が変わってくるため仮装分割の問題点が指摘されています。ドイツ・フランスがこの方式を採用しています。
③法定相続分課税方式
各相続人等が相続等により取得した財産の合計を一旦法定相続分で分割したものと仮定して相続税の総額を算出し、それを実際の遺産取得額に応じて按分して各人の相続税額を計算します。この方式は財産をどのように分割しても相続税の総額は変わらないといった長所がある反面、納税者にとってわかりにくく、上記のような修正申告で財産を取得していないにもかかわらず追徴税額が出てしまうといった問題点があります。現行の日本の相続税法はこの方式を採用しています。


現行の相続税は具体的にはつぎの手順で計算します。
①各相続人が相続した財産から債務を控除するなどして計算した、各人の課税価格を合計(「課税価格の合計額」)を出します。
②課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額(「課税遺産総額」)を計算します。
③課税遺産総額を、各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算します。
④③で計算した各法定相続人ごとの取得金額に税率を乗じて相続税額を算出します。
⑤④の各法定相続人ごとの算出税額を合計して「相続税の総額」を計算します。
⑥つぎの算式により、各相続人ごとの相続税額を計算します。
相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各相続人等の税額


相続税の税務調査で申告もれを指摘された財産を誰が相続するかに関係なく、一旦上記①の課税価格の合計額に取り込みます。
そして、②基礎控除額を控除し、③各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、④相続税の総額を計算するため、⑤申告もれ分だけ相続税の総額は増えます。これを⑥各相続人が相続した財産に応じて按分計算するため、申告にもれた財産を相続していない人までも相続税が増えて追加の納税が発生してしまうことがあります。

∞∞ 吉岡 ∞∞

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