【所得税】国外転出時課税制度/非上場株式の時価に注意

国外転出時課税、国外転出(贈与)時課税及び国外転出(相続)時課税のいずれの場合も、有価証券等の時価からその取得価額を控除した含み益に対して所得税等が課税されます。

この場合において有価証券等が上場していて時価が判る場合の含み益は比較的容易に計算することができます。
ところが、非上場株式の場合は時価そのものを自らが求めなくてはなりません。その計算方法の詳細はここでは割愛しますが、基本的には相続税や贈与税の場合の非上場株式の評価方法に準じて計算します。
しかし、その者が25%以上持つ大株主グループに属している場合は、相続税法の評価方法とはつぎの点で異なります。
・評価する会社の規模に関係なく常に「小会社」に該当するものとします。つまり、「純資産価額」か「類似業種比準価額×0.5+純資産価額×0.5」のいずれか低い価額での評価となります。
・土地等の評価額は路線価等の評価額ではなく時価で評価します。
・上場有価証券はその時の時価で評価します。
・純資産価額の計算においては、評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しません。

その結果、非上場株式の評価額が相続(贈与)税評価額の何倍にもなってしまうこともあります。
(例)
会社規模は大会社、類似業種比準価額は500円/株、純資産価額8,000円/株(土地及び上場有価証券は時価、評価差額に対する法人税額等控除なし)
居住者である祖父が、非居住者である孫に6,000株贈与した場合の、孫の贈与税額はつぎのとおりです。
1株あたりの価格=500円
500円/株×6,000株=3,000,000円
贈与税額=(3,000,000円-基礎控除1,100,000円)×贈与税率10%=190,000円

この場合において、祖父は有価証券等を1億円以上有しているなど国外転出(贈与)時課税制度の条件を満たしているとした場合の祖父が負担する所得税等はつぎのとおりです。
1株あたりの価格=500円×0.5+8,000円×0.5=4,250円
1株あたりの含み益=4,250円-500円※=3,750円 ※1株あたり取得価額を500円とします。
譲渡所得金額=3,750円×6,000株=22,500,000円
所得税等=22,500,000円×税率15.315%(復興特別所得税を含む)=3,445,800円(100円未満切り捨て)

国外転出時課税制度における非上場株式の含み益を計算する場合は、相続(贈与)税の評価額を用いるのではなく、所得税における評価額を用いる点に留意する必要があります。

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