【所得税】上場株式等の譲渡と配当:配偶者控除が受けられなくなる事例②

<<上場株式等の譲渡損失の繰り越しを適用したために損をした事例>>

-X年分-
専業主婦である妻は、亡くなった父から上場株式の相続をしました。上場株式の配当金は40万円、源泉徴収された税額81,260円(所得税・復興特別所得税61,260円、住民税20,000円)を受け取りました。また、この年父から相続した株式を100万円で譲渡しました。この譲渡した株式の父の取得価額は300万円でした。そこで上場株式の配当金40万円は申告分離課税を選択して、上場株式等の譲渡損失と損益通算することにより配当所得の源泉税額81,260円の還付を受けました。なお、妻は夫の配偶者控除を受けるつもりです。

イ.妻の合計所得(注)の金額
配当所得の金額:40万円
上場株式等の譲渡損失の金額:収入金額100万円-取得価額等300万円=△200万円
(相続した株式は被相続人の取得価額を引き継ぎます。)
損益通算:40万円-200万円=△160万円
合計所得金額は上場株式等の配当所得の金額と上場株式の譲渡損失の金額との損益通算後の金額:△160万円

ロ.夫の配偶者控除の判定
妻の合計所得金額△160万円 < 38万円  ∴夫の控除対象配偶者となる。

(注)合計所得とは、つぎの①と②の合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額です。また、申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(不動産の譲渡所得がある場合は特別控除前の金額)の合計額を加算した金額です。

① 事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額
② 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額

ただし、つぎの繰越控除を受けている場合は、その適用前の金額をいいます。
・純損失や雑損失の繰越控除
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除
・特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
・特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除
・ 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除

-X+1年-
専業主婦である妻は、この年も上場株式の配当金は40万円、源泉徴収された税額81,260円(所得税・復興特別所得税61,260円、住民税20,000円)を受け取りました。昨年から繰り越された上場株式等に係る繰越損失△160万円があるので、上場株式の配当金40万円は申告分離課税を選択して、繰り越し控除された上場株式等の譲渡損失と通算することにより配当所得の源泉税額81,260円の還付を受けました。

イ.妻の合計所得(注)の金額
配当所得の金額:40万円
上場株式等の譲渡損失の繰り越し控除適用後の金額:40万円-160万円=△120万円

合計所得は上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除適用前の金額:40万円

ロ.夫の配偶者控除の判定
妻の合計所得金額40万円 < 38万円  ∴夫の控除対象配偶者とはなれない。

 

税理士のSEO対策・ホームページ制作