【コラム】金の密輸

消費税不正、40億円を追徴課税…金地金買い取り業者など80法人・個人

国税当局が、全国の免税店などを対象に消費税の不正申告の有無を調べる一斉税務調査を行い、約80の法人と個人に計約40億円を追徴課税したことが関係者の話でわかった。うち約30億円は金地金買い取り業者2社への課税で、中国人などから金地金を買い取ったとする帳簿の記載に裏付けがないと判断された。(2020年10月28日 読売新聞)


金地金密輸のスキーム

①日本から現金を持ち出す。(仮3,500万円)

②香港・シンガポールなど消費税がかからない国で金地金を購入する。(仮5kg 3,500万円)

③税関で輸入申告をしないで入国
※本来なら携帯品・別送品とした場合でも輸入消費税10%がかかります。
※実際には、現地で買い付けた金地金を小分けにして運び屋を使うようです。
※地金(純度 90%以上)の重量が 1 ㎏を超える場合は、税関へ「支払手段等の携帯輸出・輸入届出書」を提出しなければなりません。(通関案内PDF参照)

④密輸業者は金の買取業者に消費税10%を上乗せして売却(消費税分350万円の儲け)
※3,850万円-3,500万円=350万円

⑤金の買取業者から大手商社に転売
※買取価額と売却価額との差が利益になります。

⑥大手商社が金国際市場へ輸出(ロンドン、シンガポール、香港等)
※買取価額と売却価額との差が利益になります。
※消費税分350万円は輸出免税として還付されます。

財務省資料を参考としました。)


金地金の密輸の対策としては、密輸業者を厳しく取り締まる一方、密輸しても用意に換金できないような仕組みづくりが必要です。

平成30年度の税制改正で罰則の強化(財務省:税制改正の解説より)

罰則規定 改正前 改正後
消費税法第64条
(消費税ほ脱)
1,000万円
又は
脱税額が1,000万円超の場合は脱税額
1,000万円
又は
脱税額の10倍が1,000万円超の場合は脱税額の10倍
地方税法第72条の109
(地方消費税ほ脱)
1,000万円
又は
脱税額が1,000万円超の場合は脱税額
1,000万円
又は
脱税額の10倍が1,000万円超の場合は脱税額の10倍
関税法第111条
(無許可輸出入罪)
500万円 1,000万円
又は
貨物の価格の 5 倍が1,000万円超の場合は貨物の価格の 5 倍

令和元年度税制改正で金地金等の密輸に対応するための消費税における仕入税額控除の見直し(財務省:税制改正の解説より)

改正前 改正後
金地金等の課税仕入れについては、
・密輸品であったとしても、
・課税仕入れ等の事実を記載した帳簿を保存することに
より、仕入税額控除が可能
⑴仕入税額控除の要件強化
金又は白金の地金に係る仕入税額控除について、「本人確認書類※の保存」を要件に追加する。
※本人確認書類 個人:免許証、パスポート等 法人:登記事項証明書等
⑵仕入税額控除の制限
密輸品と知りながら行った課税仕入れについて、仕入税額控除を認めないこととする。

 

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