消費税

【法人税・消費税】新型コロナウイルス感染症と中間納付

2020-08-19

日本の法人の数は264万社、そのうち最も多いのが3月決算で全体の20%を占めています。(国税庁HP👈クリック)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今年の3月以降売上が激減した会社も少なくないと思います。その中で、3月決算の会社の中間納付が11月に到来します。

赤字なら法人税は仮決算を組めば何とかなるかもしれませんが、消費税は赤字でも納税が出る場合があります。


法人税及び消費税の中間申告については、前期の確定した税額に基づく中間申告(及び予定納税)と、中間期間を一つの事業年度(又は課税期間)とみなして確定申告と同様に法人税額(又は消費税額)を計算する仮決算による中間申告とがあります。

1.予定納税の中間申告、又は仮決算による中間申告をし、納税猶予を受ける
この場合の猶予期間は、その猶予を受けた中間申告分や予定納税分と同じ年分(事業年度)の確定申告期限まででとなります。(国税庁HP👈クリック)

2.新型コロナウイルス感染症の影響により、期限までに提出することが困難な場合
確定申告と同様、その提出期限の延長が認められます。
また、中間申告書を提出することが困難な状態が、確定申告書の提出期限まで続く場合には、その中間申告書の提出は不要となります。
この場合は、確定申告書の余白に、「中間申告書は新型コロナウイルス感染症の影響により提出できなかった旨」を記載すればよいとのことです。

3.上記2.の場合におけるみなし申告との関係
中間申告書については、その提出期限までに提出がなかった場合には、その提出期限に提出があったものとみなされることとされていますが、みなされた後であっても、提出期限の延長は可能です。 (日本税理士会連合会HP👈クリック)

 

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【法人税・所得税・消費税】コロナにおけるやむを得ない理由

2020-08-18

問4‐2 青色申告の承認申請の取扱い

※ 個別の期限延長の取扱いは、申告や申請等をすることができないやむを得ない理由がある場合に認められるものです(国税通則法11条、国税通則法施行令3条3項)。
したがって、例えば、令和2年4月17日(金)以後に修正申告や更正の請求などの手続を行った後、別の日に青色申告の承認申請を行う場合には、その申請をすることができないやむを得ない理由があったとは認められず、令和2年分の所得税から青色申告をすることはできませんので、ご注意ください。(国税庁HP👈クリック)


新型コロナウイルス感染症に起因する申告等の個別延長は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の提出は必要なく、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延⻑申請」と記載すればよいことになったいます。

注意しなければならないのは、何でもかんでも申告書の余白に「新型コロナ・・・」記載すればよいというわけではないようです。
上述の国税庁のHPの※では、修正申告や更正の請求などの手続きができたのなら、青色申告の承認申請書の提出ができなかったということはないはずだから、青色申告の承認申請は認められないとしています。

この他にも、例えば所得税の確定申告をコロナの影響で4月に提出したが、消費税は納税資金が足りないことから6月に申告をしたという場合には、消費税の申告は期限内の申告とは認められないのではないかと思います。

つまり、所得税の確定申告ができるのなら、消費税の確定申告もできたでしょう、ということです。
このような場合は、所得税の確定申告と共に消費税の申告をすませ、別途「納税の猶予の特例(特例猶予)」(国税庁HP👈クリック)を利用することになります。

 

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【消費税】事業廃止と消費税

2020-05-29

新型コロナウイルスの感染拡大で個人事業の廃止を決めた方もいらっしゃるかと思いますが、必ずしも資金繰りが原因という方だけではないようです。

跡継ぎもいないしそろそろやめようかと思っていたところにコロナ禍、with コロナでこれから先の見通しも立たない、これを期に廃業というケースもあると思います。

日本の多くの駅前商店街はシャッター通り化していますが、今度のコロナ禍はこれに追い打ちをかけるのではないでしょうか。

さて本題ですが、課税事業者が事業を廃止したら消費税がかかる、という話をご存知でしょうか。

「ほんとかよ!」と思われるかもしれませんが、本当です。もっともほとんどのケースでは自動車など家事使用に転用できるものに限られるとおもいますが。


廃業した個人事業主の確定申告を会計検査院がサンプル調査した結果、少なくとも4割近い事業主について消費税の課税漏れがあったとみられることが8日、分かった。検査院は課税の徹底に向けた対策を講じるよう国税庁に改善を求めている。(2019/10/8 日経新聞より)


廃業となると、棚卸資産など売れるものは売却又は廃棄すると思います。もちろん、売れたものには消費税が課税されます。しかし、車両などは売らないでそのまま使用し続けるのことも結構あるのではないでしょうか?

車両購入時には支払った消費税は、消費税の納税額を計算するにあたって原則として控除されています。一方、廃業時に売却すれば消費税がかかりますが、そのまま家事使用すると消費税の課税漏れが生じてしまいます。

このような場合に備えて、消費税法ではあらかじめ条文が手当されていたわけですが、税の執行面で課税漏れがあったため会計検査院から指摘を受けたという次第です。国税庁はこれを受けてタックスアンサーで下記の案内をして注意を促しています。


消費税の課税事業者に該当する個人事業者が事業を廃止した場合、その廃止の日の属する課税期間に係る消費税の申告が必要です。

また、個人事業者が事業を廃止した場合、事業の廃止に伴い事業用資産に該当しなくなった車両等の資産は、事業を廃止した時点で家事のために消費又は使用したものとして、事業として対価を得て当該資産を譲渡したものとみなされ(みなし譲渡)、非課税取引に該当しない限り、消費税の課税対象となります。

この場合、当該事業を廃止した時の当該資産の通常売買される価額(時価)に相当する金額を、当該事業を廃止した日の属する課税期間の課税標準額に含める必要があります。


 

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【消費税】新型コロナウイルスと高額特定資産

2020-05-26

消費税の租税回避の一例が「自販機スキーム」だったわけですが、これは平成22年の税制改正で蓋をされました。
具体的には、俗に3年縛りという規制がで下記の期間中に調整対象固定資産を取得した場合には、調整対象固定資産を取得後3年目までは強制的に免税事業者や簡易課税を選択できない(原則課税)というものです。
・課税事業者選択届出書を提出し、自ら課税事業者となってから2年間
・資本金1千万円以上の法人を設立した場合の基準期間がない課税期間

しかし、これでは蓋をしきれないケースがありました。
・基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円超だったなどの場合
・課税事業者を選択した後2年間(強制適用期間)を経過していた場合
・資本金1千万円以上の法人を設立した後2年間を経過してから取得した場合
・棚卸資産(調整対象資産から棚卸資産は除外されている)を取得した場合


そこで、平成28年の税制改正で、事業者が事業者であったり簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に高額特定資産(※)の仕入れ等を行った場合には、高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から、高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、免税事業者になることや簡易課税制度の選択をすることができないことになりました。

※ 「高額特定資産」とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が 1,000 万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます。


調整対象固定資産の3年縛りと同様の趣旨で、この高額特定資産(※1)についても、新型コロナウイルス感染症等の影響で、事業収入が激減(※2)しているような場合は、特定課税期間(※3)の初日以後2年を経過する日の属する課税期間までの課税期間において高額特定資産の仕入れ等を行った特例対象事業者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けることで、特定課税期間以後の課税期間について、この3年間の納税義務が免除されない制限を解除することができます。(国税庁HP参照

(※1 )高額特定資産とは、一の取引単位につき、1,000 万円(税抜き)以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいう
(※2)令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までの間のうち任意の連続した1か月以上の期間の事業としての収入金額が、前年の同時期と比べて、概ね 50%以上減少
(※3)特定課税期間とは、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業としての収入の著しい減少があった期間内の日を含む課税期間をいう

 

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【消費税】新型コロナウイルスと調整対象固定資産(その2)

2020-05-24

調整対象固定資産の3年縛りは、平時ならこれでよいのでしょうが、新型コロナウイルス感染症等の影響で、事業収入が激減(※1)しているような場合は、レジシステムなどの新たな設備投資、あるいは事業そのものの見直しなどで想定外の設備投資をしなければならないケースが出てくるものと思われます。

(※1)令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までの間のうち任意の連続した1か月以上の期間の事業としての収入金額が、前年の同時期と比べて、概ね 50%以上減少

このような状況下のもと、新設法人(※2)又は特定新規設立法人(※3)は、納税地の所轄税務署長の承認を受けることで、 特定課税期間(※4)以後の課税期間について、3年縛りの制限を解除する ことができます。(国税庁HP参照

(※2) 新設法人とは、その事業年度の基準期間がない法人でその事業年度開始の日の資本金の額又は出資の金額が 1,000 万円 以上の法人をいいます。
(※3)特定新規設立法人とは、新設法人に該当しない新規設立法人のうちその事業年度開始の日において、 他の者に支配されているなど一定の場合に該当することとなる法人をいいます。
(※4)特定課税期間とは、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業としての収入の著しい減少があった期間内の日を含む課税期間をいいます。

 

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【消費税】新型コロナウイルスと調整対象固定資産(その1)

2020-05-22

消費税の課税事業者が、調整対象固定資産(一の取引単位が100万円以上の一定の固定資産)を取得した場合は、一定の調整計算が必要になるケースがあります。
-必要になるケース-
・控除消費について比例配分法で計算するとき
課税売上割合が著しく変動したとき

一定の調整計算とは、その取得した日の属する課税期間以後3年間の通算課税売上割合と比較して著しく増加したとき又は著しく減少したときは、第3年度の課税期間において仕入控除税額の調整を行うもので、固定資産に係る仕入税額控除の計算の適正化を図ることを目的としたものです。

かつて、この制度の穴をついた「自販機スキーム」という租税回避的な行為が横行しました。
具体的には、居住用のアパートを課税期間の末日頃に取得します。これによりその課税期間では家賃(非課税売上)は発生させないことができます。

一方、アパートの敷地内に自動販売機収入(課税売上)を設置します。その売上は課税売上なので、この課税期間の課税売上割合は100%になります。これにより消費税を全額還付を受け、その後「免税事業者」や「簡易課税事業者」になることにより、3年めの調整計算を逃れるというものです。

この対策として、俗に3年縛りという規制ができました。
3年縛りとは、下記の期間中に調整対象固定資産を取得した場合には、調整対象固定資産を取得後3年目までは強制的に免税事業者や簡易課税を選択できない(原則課税)というものです。
・課税事業者選択届出書を提出し、自ら課税事業者となってから2年間
・資本金1千万円以上の法人を設立した場合の基準期間がない課税期間

 

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【消費税】新型コロナウイルスと消費税の課税方法の選択

2020-05-20

新型コロナウイルスの感染拡大により営業収入が概ね50%以上落ち込んだ場合は、消費税の課税方法の選択がかなり弾力的な取り扱いになっています。


特例対象事業者
・営業収入の減少が新型コロナウイルス感染症等の影響であること
・令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までの間のうち任意の連続した1か月以上の期間(調査期間)の事業収入金額が、前年の同時期と比べて、概ね 50%以上減少


特例対象事業者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けることで、特定課税期間※以後の課税期間について、課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択する(又は選択をやめる)ことができます。
※ 特定課税期間とは、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業としての収入の著しい減少があった期間内の日を含む課税期間をいいます。


したがって、当期は免税事業者だけれど新型コロナウイルスの影響で売上が大きく落ち込んだため、課税売上高にかかる消費税額よりも課税仕入にかかる消費税額の方が大きいといったケースでは、課税事業者を選択して、消費税の差額分の還付が受けることができます。

また、今期設備投資を予定していたので消費税の還付を受けるために、免税事業者だったがあえて課税事業者を選択していた。ところが、新型コロナウイルスの影響で設備投資を見合わせることになったというケースでは、課税事業者の選択と取りやめることもできます。

この他にも、租税回避の観点から、調整対象固定資産を取得した場合や高額特定資産の仕入れ等を行った場合には、一定の制限がなされていますが、特例対象事業者についてはその制限が解除されています。

 

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【消費税】課税事業者の選択又は不適用の届出の特例

2020-04-27

免税事業者(基準期間※の課税売上高1,000万円以下)は、消費税の納税義務が免除され、通常なら有利な扱いとなります。
※個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高のことをいい、法人の場合は原則として前々期の課税売上高のことをいいます。

新型コロナウイルスの影響で売上が大きく減少したため、今年に限っては課税売上高にかかる消費税額よりも課税仕入にかかる消費税額の方が大きく、課税事業者だったならばその差額分は還付が受けられたというケースが出てくると思われます。

また、今年は設備投資を予定していたので消費税の還付を受けるために、免税事業者だったがあえて課税事業者を選択していたところ、新型コロナウイルスの影響で設備投資を見合わせることになったというケースもあるかと思います。

免税事業者が消費税の課税事業者を選択する(又はやめる)にあたっては、原則として、その課税期間(法人の場合事業年度、個人の場合暦年)開始前に一定の届出書を提出する必要があります。
しかしながら、新型コロナウイルスは非常事態であるため、つぎに該当するときは、税務署長の承認を受けることにより、課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択する(又はやめる)ことができる特例措置が設けられる予定です。

要件
① この特例に係る法律の施行後に申告期限が到来する課税期間が対象
② 新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までの期間の内、一定期間(1ヶ月以上の任意の期間)の収入が、著しく減少(前年同期比概ね 50%以上)したこと
③ 当該課税期間の申告期限までに申請書を提出すること

また、通常は免税事業者が課税事業者を選択すると2年間は免税事業者になることはできませんが、この特例措置では翌期は免税事業者に戻ることも可能となります。


なお、消費税の簡易課税については、「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」の特例が現行法に設けられています(消費税法 37 条の2)。
新型コロナウイルスの影響による被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受ける(又はやめる)必要が生じた場合、税務署長の承認を受けることにより、その被害を受けた課
税期間から、簡易課税制度の適用を受ける(又はやめる)ことができます。

 

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【国税】国税の納税猶予

2020-04-22

令和2年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)」で、国税の納税猶予制度の特例が掲げられています。
現行でも国税の猶予制度はありますが、担保を必要とする場合があったり、外出自粛に伴い収入が大幅に減少したような場合であっても、猶予期間中の延滞税が免除されないことがあるなどから、制度の緩和が予定されています。

対象となるのは、令和2年 2 ⽉以降の任意の期間(1か⽉以上)において、事業等に係る収⼊が前年同期に⽐べて概ね20%以上減少している法人又は個人です。
対象期間は、1年間で、 担保の提供は不要、延滞税もかかりません。

申請手続き等は、納期限(申告納付期限が延⻑された場合は延⻑後の期限)までに申請が必要となります。

 

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【法人税・消費税】申告期限延長

2020-04-20

法人税等
法人は3月決算・5月申告がもっとも多いところですが、政府の緊急事態宣言により、在宅勤務等で決算・申告が期限までに間に合わないことが予想されます。
法人税等におきましても、申告・納付の期限延長の取り扱いが国税庁のホームページでFAQ形式で公表されています。


問1.どのような場合に法人は個別延長が認められますか。
問2.個別延長の場合の申告・納付期限はいつになりますか。
問3.申請や届出など、申告以外の手続きも個別延長の対象となりますか。
問4.個別延長する場合には、どのような手続きが必要となりますか。

ご注意いただきたいのは、問4です。


○ 別途、申請書等を提出していただく必要はなく、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記していただくこととしております※。
このため、当初の申告期限以降に、申告書を提出する場合には、新型コロナウイルス感染症の影響による申告期限及び納付期限を延長する旨を以下の方法で作成していただき
ますようお願いします。
※ 源泉所得税においては、納付を行う際に所得税徴収高計算書の「摘要」欄に「新型コロナウイルスによる納付期限延長申請」である旨を付記していただくこととしております。
○ この場合、申告期限及び納付期限は原則として申告書等の提出日となります。


この場合の申請書とは、災害による申告、納付等の期限延長申請書を指すものと思われますが、この申請書を出してもよいし、あえて出さないで便宜的に<<申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記>>しただけでもよいとされています。
なお、この申請書には申請期限がありますがその記載方法は下記となります。
・申告書と同時に申請書を出す場合は申告書の提出日を記載する。
・申請書のみを提出する場合は、期限延長の指定を受けようとする日を記載する。

 

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