【所得税】勤続5年以内の退職所得の見直し

政府・与党は2021年度の税制改正で、退職金課税制度を見直す方針だ。役員を除く社員が勤続5年以内に退職金をもらう際、控除額を大幅に上回る場合は税負担の軽減措置を縮小する案が有力だ。

外資など一部企業では給与を少なくする一方で退職金を多くして社員が税軽減を受けるケースがあり、制度の趣旨にそぐわない節税策として問題視されていた。与党の税制調査会で議論し、12月にまとめる税制改正大綱に盛り込む。

具体的には、勤続5年以内の社員について控除額から300万円程度上回る退職金を得た場合は2分の1の軽減措置が受けられないようにする案を軸に検討する。(2020/11/28 日経)


退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与とされ、次のように計算します。

(収入金額 - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額
【退職所得控除額】
勤続年数20年以下 40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円)
勤続年数20年超 800万円 + 70万円 × (勤続年数- 20年)

上記算式を見れば、退職所得は優遇されていることがよくわかります。会社に長く勤めるほど退職所得控除額は多くなり、退職所得控除額を差し引いた後の金額を2分の1してくれます。

終身雇用を前提とした時代はこれで特段問題はなかったのですが、人材の流動化・グローバル化とともにいろいろと考える人達が出てきます。

例えば、海外企業から日本の子会社に一定期間出向するという場合、月々の給料は低く抑えて、母国に戻るときに退職金として差額をもらうという方法です。


ところで、上記新聞記事には「・・・役員を除く社員・・・」とあります。

実は、既に役員については平成24年度の税制改正で、勤続年数が5 年以下の場合は特定役員退職手当等として上記算式中2分の1の部分の適用がされないことになっています。(国税庁HP👈クリック)

・・・退職所得については、長期間にわたる勤務の対価が一時期にまとめて後払いされるものであることや、退職後の生活保障的な所得であること等を考慮し、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に課税するという累進緩和措置が採られていますが、この2分の1課税があることを前提に、短期間のみ在職することが当初から予定されている法人の役員等が、給与の受取りを繰り延べて高額な退職金を受け取ることにより、税負担を回避するといった事例がかねてより指摘されており、今回の改正において、勤続年数5年以下の法人の役員等の退職所得については、この2分の1課税を廃止することとされました。(国税庁HP👈クリック)

時代の変遷とともに終身雇用が見直されつつある中で、そもそも退職所得の計算方法は転職者にとっては不利な税制という見方があります。

一方では、退職所得の計算方法が根本的に見直されてしまうと、既に退職所得を前提とした給与体系に組み込まれている人たちには、想定外の不意打ちを食らう結果になります。それは、一般企業で働くサラリーマンだけでなく、国・地方の公務員も例外ではありません。

来年の税制改正で、勤続年数5年以下の一般社員の退職金については役員等の場合と同様に課税が強化されるのだと思いますが、退職所得の抜本的な見直しはもう少し先ではないでしょうか。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

 

 

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