【コラム】最低所得保障(べーシックインカム)

最低所得保障(べーシックインカム)をはじめとした所得保障制度の導入論が先進国で再び勢いづいている。スペインが導入し、米国などでも実証実験が予定される。新型コロナウイルスが低所得層を直撃したことや、経済構造の急速な変化が雇用を不安定にしていることが背景にある。

ベーシックインカムは全国民に一律の金額を恒久的に支給し、必要最低限の生活を保障する仕組みを指すのが一般的だ。生活保護をはじめとする既存の所得再配分政策が貯金や自宅などの保有資産、収入によって受給対象を厳しく絞るのとは一線を画す。一国で導入した例はまだない。(2020/08/02 日経)


日本には生活保護や失業保険といった社会保障制度はありますが、ベーシックインカムは原則、年齢・性別・所得の有無を問わないとされています。

当然のことながら高所得者にも支払われるため、社会的に恵まれている人にまで支給するのは公平ではないという議論が出て来ます。
また、働かなくても生活ができるのとなると国民の勤労意欲を損なう懸念があります。

そもそも「全国民に一律の額を支払う場合、日本なら1人あたり月5万円で年70兆円以上かかる。(日経)」とする財源をどうするのかという問題があります。
ベーシックインカム導入に併せて社会保障全般の見直しをするにしても、70兆円をひねり出すことは困難でしょう。


一定水準以上の所得者に給付したベーシックインカムを、もう一度国が回収する方法はあります。所得税を課税してしまえばよいのです。

所得税・住民税を課税しても税引き後の金額が手元に残るというなら、一定水準を超えると給付したベーシックインカムに相当する税を上乗せすればよいのです。

しかし、それでもやはり問題があります。
不動産や預貯金等の金融資産をお多く持つ、資産リッチな人たちです。
この人たちは、固定資産税は払っているけれども所得税は多くは払っていません。

この人達から給付したベーシックインカムを回収するには、資産とマイナンバーを紐付けるしかないでしょう。

余談ですが、国民全員に一律10万円給付した「特別定額給付金」について所得課税の議論があってもよかったと思っています。

 

∞∞ 吉岡 ∞∞

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